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2022年3月10日(木)

国際学術シンポジウム「日中両国における法制・政策整備の新たな動き」を開催しました

山梨学院大学法学部と南開大学(中国・天津)法学院は3月5日、「日中両国における法制・政策整備の新たな動き」と題した国際シンポジウムをオンライン/オフライン方式で共同開催しました。開会にあたり、本学金子大法学部長より、このような学術交流が両大学の友好交流関係に有利だけでなく、日中両国の平和と友好関係の構築にも重要だとの挨拶がなされました。シンポジウムでは、地方自治、不動産税制、知的財産権、環境政策という4つのセッションに分けて、両校の研究者が報告と議論が行われました。

■地方自治セッション
山梨学院大学前教授で、現大正大学江藤俊昭教授が、「日本における行政改革から地方自治体改革へ~地方分権改革後の地方自治法改正を中心に~」というテーマで、日本の地方自治制度の整備、地方分権制度の改革と新しい動向を報告しました。これに対し、南開大学の閻爾宝教授は「中国における行政訴訟の構造転換」という報告の中で、2015年の「行政訴訟法」の改正により、行政訴訟システムが「行為訴訟プラス関係訴訟」という構造への転換の可能性が見えてきたが、依然として任重道遠だと指摘されました。

■不動産税制セッション
本学の上條醇特任教授が「不動産に関する日本の税制について」というテーマで、日本の不動産税とその関連税制の歴史的変遷とその基本構造を紹介し、地方財政における役割の低下を指摘した上で、その改革と改善の必要性について報告しました。他方、南開大学の楊広平教授は「中国不動産税制改革の動向と方向」と題した報告で、「政策的不動産税」と(税収的)「不動産税」という「二元的構造」の方向で、不動産税制改革を進めるべきだとの指摘をされました。

■知的財産権セッション
本学の小菅信子教授が「日中『アニメ』文化交流政策と知的財産権をめぐる課題」というテーマで、アニメ文化を媒体とする流行文化の交流は各国の青年間の相互理解を増進するだけでなく、知的財産権に関する法律意識を促進させるという意義もあると指摘しました。他方、南開大学の張玲教授は「署名権主体規則システムの再構築」という報告の中で、中国における著作権と関わる署名権問題の経緯と課題について検討がなされました。

■環境政策セッション
本学副学長でもある丸山正次特任教授が「日本国における環境政策の展開と特徴」と題して報告し、比較政治と政策決定論という視点から、日本の環境(公害)政策決定の特徴を分析・報告しました。これに対し、南開大学の史学瀛教授は、「生態文明建設と中国環境法の変革」というテーマで、中国環境法においても保護優先、予防中心、総合的ガバナンス、住民参加と損害責任など基本原則が貫かれていることを指摘されました。

以上の報告に対し、南開大学の宋華琳、陳兵、向波、申進忠教授らからそれぞれコメントがなされました。本学法学部副部長の成澤寛教授は総括として、両国の認識の違いを互いに理解し、最新の情報を交換すること自体に、国際シンポジウムの意味があると語り、最後に南開大学法学院院長の付士成教授は、閉会の挨拶として30年間にわたって両大学間の学術交流を振り返り、両大学が新しい方式を開拓し、既存の友情を大きく発展させることを望むと述べられました。

ユーラシア財団from Asiaの支援と協賛を頂いた今回のシンポジウムは、両大学の教員と学生の注目を集め、オンライン・オフラインで約150人が参加して、学術的だけではなく、社会的効果も期待されるものになったといえます。(山梨学院大学法学部教授 劉星執筆)

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