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2023年3月17日(金)

国際学術シンポジウム「脱グローバル化における国際協力について」

「脱グローバル化における国際協力について」
国際学術シンポジウム、山梨学院大学で成功裡に開催

 2023年3月10日、山梨学院大学と中国の北京大学国際戦略研究院との共催である「脱グローバル化における国際協力について」と題する国際学術シンポジウムが山梨学院大学を会場に開催し、成功裏に終わりました。

 今回のシンポジウムは、近年、米国が推進する「脱グローバル化」が国際社会の最大の関心事の一つとなっていることを受けて開催されました。特に中米関係の悪化が続き、ロシアとウクライナとの衝突が激化し、既存の世界秩序はより大きな不確実性に直面し、グローバル化もかつてないほどの衝撃に直面しています。グローバリゼーションが後退し、さらには終焉に向かっているとの懸念が拡大しつつありますが、エリートや政治家、そして一般民衆も、脱グローバル化の流れが、これまで世界秩序の維持に大きな役割を果たしてきた国際協力にどのような影響を及ぼすのか、この点を考えずにはいられないでしょう。国際安全保障は、これによって陣営が分裂対立し、また常時対峙する険悪な安全保障に変容するのではないでしょうか。グローバル化は今後も続くべきなのか、経済貿易を中心とした国際協力がグローバル化を救うことができるのか,これらの点は現在の最大の関心事といえます。このため、会議では「国際秩序の転換と中米日関係の行方」、「ロシアとウクライナの紛争が地域協力に与える影響」、「経済相互依存と安全保障の関係」の3つのセッションをめぐって踏み込んだ意見交換と活発な学術的議論が行われました。

 シンポジウムに先立ち、山梨学院大学学長の青山貴子教授が開会の辞を述べました。ロシアとウクライナとの衝突と中米関係の悪化は国際社会が現在最も注目している問題の一つだと指摘しました。今回のシンポジウムによって、現在の「脱グローバル化」の動きに対して、メンバーの交流を通じて今後の国際協力や安全保障の在り方についての共通理解が深まり、さらに共に対応するためのガバナンスが社会に提案されることを期待すると、会議への希望を述べました。

 北京大学国際戦略研究院院長の于鉄軍教授はあいさつの中で、「ここ数年来、国際環境は揺れ動き、ロシアとウクライナとの衝突が続いている。中米の戦略的競争は激化している。グローバル化は逆流に見舞われ、一国主義が盛んになり、世界経済の成長は低迷し、環境危機、感染症も依然として起伏している」と指摘。世界は岐路に至り、中日関係、東アジアの安全保障も新たな挑戦に直面し、両国の有識者はこれを憂慮している。両国関係の低迷状態から抜け出す道を何とか見つけなければならないと強調しました。この点、民間交流、特に大学間の交流、学界間の交流が重要であることは間違いなく、山梨学院大学と北京大学国際戦略研究院とが共催した今回の会議は重要な意義があると指摘しました。

 会議における報告等は次のとおりでした。冒頭于鉄軍教授は「中米の戦略的駆引きと国際秩序の転換」について、筑波大学大学院名誉教授、一帯一路日本研究センター会長、国際アジア共同体学会理事長の進藤栄一氏は「脱グローバル化する世界~連亜連欧への道~」と題し、北京大学国際戦略研究院の関貴海副院長は「地域紛争と大国関係」をめぐって、日本政治法律学会理事長・法政大学の白鳥浩教授は「ウクライナ紛争におけるヨーロッパ諸国の対応の教訓」について、北京大学国際関係学院の帰泳濤副院長は「経済相互依存、国家安全保障と中米日関係」について、山梨学院大学の劉星教授は「日本国家安全保障戦略の転換と地域安全保障の課題」について、それぞれ講演が行われました。

 報告者6人の講演に対し、川島真・東京大学教授、杜進・拓殖大学教授、吉留公太・神奈川大学教授、劉曙麗・山梨学院大学准教授がそれぞれコメントを寄せました。

 3セッション終了後、熊達雲・山梨学院大学特任教授が簡単な総括を行い、「今回の国際学術シンポジウムの規模としては大きくないものの、しかし報告者の講演、論評者のコメントはいずれも精彩を放ち、緻密な分析と冷静な思考があり、多くの啓発的な対応策を提示してくれた」と評価し、会議では活発な議論が行われ、深い学術的切磋琢磨が行われ、会議は予想を上回る効果を達成したとまとめました。

 最後に、山梨学院大学法学部長の金子大教授が閉会の辞を述べ、会議の成功に祝意を表し、報告者、コメンテーター及び会議主催者がシンポジウムの成功に貢献したことに心から感謝の意を表しました。  

 今回のシンポジウムはユ-ラシア財団(from Asia)から後援を受けましたこと、感謝を申し上げます。
(執筆 熊達雲)

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